【ソウル、ワシントン時事】韓国の尹錫悦大統領は3日夜、緊急談話を発表し、野党が複数件の弾劾を試み、「行政をまひさせている」などとして「非常戒厳」を宣言した。戒厳司令部は、国会や政党などの政治活動を禁止し、メディアと出版が同司令部の統制を受けるとの布告を発表した。韓国メディアによると、国会では出入りが制限され、軍が進入した。
国会は4日未明に本会議を開き、「非常戒厳」の解除を求める決議案を可決。禹元植国会議長は「戒厳解除決議案が可決されたことにより、戒厳令の宣告は無効となる」と述べた。ただ、解除のためには閣議を経て、大統領自身が解除を公告する必要がある。
尹大統領は戒厳司令官に陸軍参謀総長を任命。金龍顕国防相は軍に対し、警戒、態勢強化を指示した。
与党「国民の力」の韓東勲代表は「非常戒厳の宣言は間違っている。国民と共に阻止する」とする声明を出した。
国会で過半数を占める革新系最大野党「共に民主党」は、行政や検察などへの弾劾を進めており、非常戒厳はこれに対抗した措置とみられる。尹氏は「今、大韓民国は崩壊してもおかしくないほどの風前のともしびだ」と訴えた。
在韓国日本大使館は非常戒厳について、「具体的な措置等は不明」とした上で今後の発表に留意するよう呼び掛けた。
米国家安全保障会議(NSC)報道担当官は3日、「韓国政府と連絡を取り合っており、状況を注視している」と明らかにした。
[時事通信社]