【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領が「国政がまひ状態にある」などとして、1987年の民主化後初めて「非常戒厳」を宣言したのを受け、革新系最大野党「共に民主党」など野党6党は4日、国会に尹氏の弾劾訴追案を提出した。戒厳令の発出が「憲法や法律に明白に違反する」と主張した。
戒厳令が出されたのは80年以来で44年ぶり。混乱は広がっており、金龍顕国防相、大統領府の鄭鎮碩秘書室長や首席秘書官が辞意を表明した。外交日程への影響も避けられそうにない情勢だ。ソウル中心部では、尹氏の辞任を求める多数の市民が大統領府に向かって行進した。
弾劾訴追案の可決には国会の在籍議員300人のうち3分の2以上の賛成が必要。与党「国民の力」からも尹氏に反発する声が出ており、可決される可能性が出ている。
国会は共に民主党が過半数を占めており、尹氏が思うように国政を運営できない状況が続いていた。同氏は3日深夜に戒厳令を布告。しかし、4日未明に国会が解除を求める決議案を可決したことを受け、約6時間で解除した。共に民主党は尹氏の即時退陣を要求。辞職しない場合、直ちに弾劾手続きに入ると宣言していた。
聯合ニュースは、野党が弾劾訴追案を5日に国会本会議へ報告し、6~7日に採決する見通しだと伝えた。戒厳令解除決議案には、与党議員18人を含む190人の全出席議員が賛成した。
弾劾訴追案が可決された場合、大統領の職務は停止され、首相が権限を代行する。可決後、180日以内に憲法裁判所が「弾劾は妥当」との判断を下すと尹氏は罷免される。
[時事通信社]