【イスタンブール時事】内戦下のシリアでアサド政権へ攻勢をかける反体制派勢力は5日、これまで政権側が支配してきた中部の要衝ハマを制圧したと宣言した。政権側は空爆などで応戦してきたが、劣勢で敗走に追い込まれた。アッバス国防相兼軍副司令官は5日、国営メディアを通じ「市民の命を守るため、軍を市外に再配置させた。一時的な戦術だ」と強調したものの、政権側の弱体化を印象付ける形となった。
反体制派は先月27日に大規模攻勢を開始し、北部の要衝アレッポをほぼ掌握。その後は北西部イドリブ県全域など支配地域を広げながら南下した。ハマは首都ダマスカスと北部を結ぶ交通の要衝で、シリア第4の都市。短期間に二つの大都市が陥落したことはアサド政権にとって大きな痛手となる。
ハマは1982年、アサド大統領の父ハフェズ・アサド大統領時代にイスラム組織による反政府暴動が鎮圧され、数万人が犠牲になったとされる。反体制派の主力である「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)の指導者ジャウラニ氏は5日、動画で「40年前に負った傷を洗い流すためハマに進攻した」と主張した。
反体制派は今後、ハマの南約45キロにある第3の都市ホムスを目指し、さらに攻勢を強めるもようだ。反体制派はSNSを通じ、ホムスの政権軍兵士に投降を呼び掛けた。
[時事通信社]