同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法に違反するかが問われた訴訟の控訴審判決が13日、福岡高裁で言い渡される。高裁判決は3例目で、札幌、東京両高裁に続き違憲判断が出るか注目される。福岡市に住む原告の男性カップルは「法律上の家族になりたい」と願っている。
原告のまさひろさん(37)とこうすけさん(35)は共通の知人を通じて2017年に知り合い、交際を始めた。翌年には行政手続きなどが受けられるようになる福岡市のパートナーシップ宣誓制度を使い、パートナーになった。
その頃、こうすけさんの父ががんで余命宣告を受け、将来への不安を覚えた2人は生命保険などを見直そうとした。しかし、同性パートナーを保険金の受取人などにできる保険会社は当時2、3社だけ。住宅購入の際も、2人の収入を合算したローンの審査が受けられず、単独名義で購入せざるを得なかった。こうすけさんは「パートナーシップ制度の限界を感じた」と振り返る。
昨年6月の一審福岡地裁判決は、同性カップルに法的に家族になる手段がないことを「違憲状態」と判断する一方、同性婚について「異性婚と変わらない社会的承認が得られているとは認め難い」とした。まさひろさんは「何をもって承認が得られていないと判断したのか疑問だ」と憤る。
SNSでは同性婚について「特別な権利を求めている」などの書き込みも目にするという。こうすけさんは「特権を求めているのではなく、ただ条件を等しくしてほしいだけ」と理解を求め、「基本的人権がないがしろにされている。違憲だとはっきり言ってほしい」と判決に期待を込めた。
[時事通信社]