【イスタンブール時事】シリアで暫定政府を主導する旧反体制派「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)の指導者ジャウラニ氏は15日、シリアを訪れた国連のペデルセン特使(シリア和平担当)と会談した。アサド政権崩壊後、ジャウラニ氏が国連高官と会うのは初めてで、同氏は2015年採択の国連安保理決議の修正を要請。決議はヌスラ戦線を「テロリスト集団」と規定しており、見直しを訴えたとみられる。
反体制派の声明によると、ジャウラニ氏は会談で「政治的な変化を踏まえ、新たな現実に合わせて決議を更新する必要性」を主張した。暫定政府は幅広く国際的な承認を目指す考えだが、各国・機関によるテロ組織指定が大きな阻害要因となっている。
ペデルセン氏はシリア到着に際し、同国経済再建のため、早期の制裁解除や人道支援拡大の必要性を強調。国連によれば、旧反体制派との協議では「シリア市民へのあらゆる支援」を行う方針を示した。バシル暫定首相とも会談した。
シリアを巡っては、カタールが閉鎖していた在シリア大使館を17日に再開すると発表。ラミー英外相もシリア側と外交的な接触を始めたと表明し、既にHTSと連絡を取り合っている米国に追随した。
フランスも12年ぶりとなる外交団を17日にシリアへ派遣する予定。国際社会では、強権的なアサド政権と異なる穏健路線を打ち出す旧反体制派に対し、一定の評価が広がりつつあり、関係構築を模索する動きが活発化している。
[時事通信社]