【ニューデリー時事】パキスタン北西部ペシャワルで武装集団が軍運営の学校を襲撃し、生徒ら140人超を殺害した事件から16日で10年がたった。同国史上最悪のテロで、いまだ後遺症に苦しむ生存者もいる。
「犠牲者の命を無駄にしない義務がある」。シャリフ首相は16日、X(旧ツイッター)にそう投稿し、安全な国造りへの決意を示した。事件は2014年に発生。犠牲者の大半は軍関係者の10代の子供だった。計画した武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」は軍による対テロ掃討作戦への報復だと主張。実行犯は治安部隊との銃撃戦の末全員死亡した。
時事通信の電話取材に応じた元在校生ムニーブ・カーンさん(26)は当時、他の生徒と講堂にいたところ、武装集団が扉を蹴破り入ってきた。ステージ上で無差別に銃を発砲、カーンさんは床に伏せ、死んだふりをして九死に一生を得た。
しかし、同じ学校に通っていた当時14歳の弟を失った。10年たっても「無力感や怒りが湧く」。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、突発的に「愛する人を失うのではないか」との思いに襲われるという。
事件を受け、政府はTTP壊滅を目指し大規模作戦を実施。主導したとされる最高指導者ファズルラ師は18年に米無人機の攻撃で死亡した。しかし、その後もTTPは散発的にテロを起こしており、政府は抑え込みに苦慮している。
[時事通信社]