2020年7月に発生した熊本豪雨で、熊本県人吉市の住民が氾濫した川に流され死亡したのは県と市が堤防整備などの適切な措置を怠ったためだとして、遺族は16日、県と市に計約3000万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。原告代理人によると、熊本豪雨の犠牲者遺族が行政責任を問う訴訟を起こしたのは初めて。
訴状によると、住民は球磨川支流の御溝川が氾濫し、住まいに水が流れ込んだことから避難しようとして死亡。原告は、この氾濫は、県が堤防整備などの適切な管理をしなかった別の支流の氾濫が一因で、県には管理責任があると主張した。市は住民に十分な避難指示を出していなかったとしている。
提訴後に記者会見した原告代理人の奥島直道弁護士は「(氾濫の)危険性がきちんと住民に伝わっていなかった」と話した。今後、集団訴訟や追加訴訟を目指す方針という。
[時事通信社]