気象庁気象研究所の末木健太研究官は17日に開かれた研究成果発表会で、能登半島で9月に発生した記録的な大雨は、日本海の海面水温が平年より4~5度も高かったことが要因とするシミュレーション結果を示した。
能登半島北部では9月21日午前に線状降水帯が発生し、大雨特別警報が出された。低気圧が前線上を東へ進んで接近したため、南西から暖かく湿った空気が大量に流入。北東からの冷たい風とぶつかって積乱雲が発達した。
しかし、コンピューターで日本海の海面水温を平年値に置き換えてシミュレーション実験を行ったところ、海面から発生する水蒸気量が減少。さらに低気圧の発達が抑えられて、南西から流れ込む暖かく湿った空気の量も減り、線状降水帯は発生しなかった。
平年より4~5度高い海面水温に基づく再現実験では、能登半島上空の高度500メートルの水蒸気流入量は、2020年7月豪雨時の熊本県上空に匹敵する結果となった。
[時事通信社]