【ワシントン時事】トランプ次期米大統領は18日、超党派合意に基づくつなぎ予算延長法案への反対を表明した。民主党に譲歩しない「一時的な資金繰り」などに限った法案を求めた。現行つなぎ予算の延長法案が20日深夜の期限までに議会を通過しなければ、政府機関は一部閉鎖される。トランプ氏の反対で、議会審議の行方は全く見通せず、政府閉鎖の恐れが高まっている。
米メディアによると、トランプ氏の反対を受け、ジョンソン下院議長ら共和党議会指導部は対応を協議。民主党の下院トップ、ジェフリーズ院内総務は「共和党は一方的に超党派合意をほごにした」と批判した。
17日に発表されたつなぎ予算延長法案は、大型ハリケーン被害に対する支援や医療、農業関連などさまざまな法案が含まれていた。トランプ氏とバンス次期副大統領は18日、SNSへの投稿で「民主党の要望が入っていない、すっきりしたつなぎ予算案の可決」を訴えた。
トランプ氏はまた、来年1月初めに失効する連邦政府の借入限度額である「債務上限」の効力停止に、速やかに対処するよう促した。トランプ氏は「債務上限引き上げは素晴らしいことではないが、バイデン政権下でやる方がましだ」と指摘。上限が引き上げられなければ、米国のデフォルト(債務不履行)リスクが高まる。
その上でトランプ氏は議会共和党に、来年1月20日の大統領就任前に、債務上限などに関するすべての協議を済ませるよう要求した。
議会は現在、民主党が上院で多数派を構成する一方、共和党が下院で過半数を占める「ねじれ議会」で、つなぎ予算案通過には超党派の合意が必要となっている。来年1月から共和党は上下両院を制するが、いずれも薄氷の過半数を確保しているにすぎず、厳しい議会運営が予想される。
[時事通信社]