日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を「0.25%程度」に据え置いた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、追加利上げを見送った理由について「来年の春闘に向けた今後の賃金動向について、もう少し情報が必要だ。トランプ次期米政権の経済政策を巡る不確実性も大きい」ため拙速な判断は避けたと説明。ただ、「特定のデータやイベントを待たないと判断できないということはない」とし、毎会合で利上げの是非を判断する考えを示した。
植田氏は経済・物価が見通しに沿って推移すれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と利上げ継続方針を改めて表明。「見通し実現の確度は多少上がっている。(判断材料が)もうワンノッチ(1段階)欲しい」とも述べた。
利上げ判断に当たり、春闘での賃上げの勢いを重視すると説明。年明けには、支店長会議で中小企業の賃上げ動向など「ある程度の情報が出てくる。それを参考にしつつ1月会合では総合判断する」と強調した。春闘の集中回答日は3月中旬だが「その手前である程度分かる可能性もある」とした。
1月に米大統領に就任するトランプ氏の経済政策については「世界経済や国際金融資本市場にも大きな影響を及ぼし得る」と指摘。特に高関税政策は「米経済がどう動くかを踏まえ、日本経済に影響が出るのか見ていかないといけない。不透明なところが大きい」と話した。
足元で再び進む円安に関しては「常に注意深く見ている」と指摘。ただ、「輸入物価の上昇率が落ち着いている」として、現時点では物価上振れリスクへの強い警戒感は示さなかった。
[時事通信社]