自民、公明両党は20日午後、2025年度与党税制改正大綱を決定する。所得税が課される年収の最低ラインである「103万円の壁」の見直しについて、両党が国民民主党に提案した123万円への引き上げが盛り込まれる。働く人の手取りを増やすとともに、消費を刺激して経済の活性化につなげる狙いだ。これに先立ち、自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は同日午前に総会を開き、大綱を了承した。
103万円の壁見直しを巡っては、国民民主が178万円への引き上げを主張。3党の幹事長は11日、178万円への引き上げを目指すと明記した合意文書を交わした。25年度改正への対応に関して3党税調会長間で協議が行われ、自公側は123万円を提示したが、国民民主は納得せず、17日に協議の打ち切りを宣言した。大綱では国民民主に提示した123万円を記載しつつ、「引き続き真摯(しんし)に協議を行う」と表明する。
高校生年代の16~18歳の子どもを持つ親の税負担を軽減する「扶養控除」は、24年度大綱で「縮小」の方針としていたが、公明、国民民主両党が実施に慎重姿勢を示したため、現行水準を維持する。26年度以降の税制改正で結論を得る。
大学生年代に当たる19~22歳の子どもを持つ親の税負担を軽減する「特定扶養控除」の見直しは、国民民主の要求を受け入れる。25年分から、アルバイトなどをする子の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げる。子の年収が123万円を超えた分からは「特定親族特別控除(仮称)」という枠組みとし、子の年収が150万円を超えると、控除額を段階的に減らす仕組みにする。
[時事通信社]