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遺族の政府不信拭えず=デモ参加85人死亡で時効―イスラム系多数のタイ南部

時事通信 2024年12月22日 14時7分

 タイ南部ナラティワート県でイスラム系住民のデモを治安当局が鎮圧し、参加した男性85人が死亡した2004年10月の事件から20年余りが経過した。遺族は当局側責任者の刑事罰を求めたが、時効が成立してかなわず、政府への不信感を拭えないままだ。

 タイは仏教徒が大半だが、ナラティワート県など「深南部」はイスラム系住民が多数を占め、分離・独立を掲げる武装勢力と政府の紛争が続く。同県タクバイ郡の警察署前で04年10月25日に行われたデモは、武装勢力への武器横流しの疑いで拘束された住民らの解放を訴えていた。

 鎮圧に当たった治安部隊の銃撃で7人が死亡。拘束された約1300人は、後ろ手に縛られた状態で20台以上の車両の荷台に何層にも積み重ねられた。隣接するパッタニー県の軍施設まで数時間かけて移送される間に、78人が窒息などで死亡した。

 だが、治安当局の対応を巡り、責任者の刑事責任は問われなかった。それを知った遺族と負傷者の48人が今年4月に訴えを起こし、ナラティワート県の裁判所が8月、殺人共謀などの罪で当時の軍幹部ら7人の裁判開始を決定。しかし、7人は期日に出廷せず、逮捕状が出たにもかかわらず身柄を拘束されないまま20年の時効を迎えた。裁判所は10月28日、公判終結を宣言した。

 事件で当時19歳の兄を亡くしたモハンマドサワウィー・ウーセインさん(36)は「遺族として責任者の処罰という『正義』を求めてきたが、まともな対応をしなかった政府に強い憤りを感じる」と心情を吐露。「この20年間、反政府的と見なされたイスラム系住民は、刑事訴追されたり超法規的に殺害されたりした。公正ではない」と訴えた。 

[時事通信社]

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