建設作業員の個人情報を管理するクラウドサービスを巡り、顧客のゼネコンなどが競合他社と取引することを妨害したとして、公正取引委員会は24日、独禁法違反(不公正な取引方法)で、三菱商事の子会社「MCデータプラス」(東京都渋谷区)に再発防止を求める排除措置命令を出した。
同社は、建設作業員の氏名や健康診断結果などの個人情報をインターネット上で蓄積、管理するサービスを展開している。顧客企業が情報を入力するが、1人につき最大100項目を超えるため、負担が大きいという。
公取委によると、MCデータプラスは遅くとも2020年以降、競合他社のサービスに移行する顧客企業に対し、個人情報保護などを理由に登録情報の提供を拒否。約款を改定して、企業側が出力した帳票などを、競合他社に提供することを禁止するなどしていた。
公取委は、こうした行為について独禁法が禁止する「取引妨害」に該当すると判断した。公取委によるクラウドサービスを巡る初の行政処分となった。
同社サイトによると、15年7月に三菱商事から分社化。建設業向けクラウドサービスでは業界最大手だとしている。
MCデータプラスは24日、排除措置命令を不服として、東京地裁に取り消し訴訟などを提起したと表明。「司法の公正な判断を求めていく」としている。
[時事通信社]