【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領が宣布した「非常戒厳」を巡る重要人物とされるノ・サンウォン元軍情報司令官の手帳から、北朝鮮の攻撃を誘導するような記述が見つかったことが分かった。北朝鮮を挑発して緊張を高めることで、非常戒厳を敷く口実を作ろうとしていたという見方が出ている。
ノ氏は朴槿恵政権時代に情報司令官を務めた後に退役。検察に逮捕された金龍顕前国防相と共に、今回の非常戒厳を計画したと伝えられており、内乱実行の容疑で18日、警察に逮捕された。
警察関係者は23日、押収したノ氏の手帳に「北方限界線(NLL)で北朝鮮の攻撃を誘導する」と書かれていたと記者団に明らかにした。ただ、実際にメモ通りの行動に出たかどうかについては確認できていないという。
革新系最大野党「共に民主党」はこれより先、尹氏や金氏が北朝鮮に無人機を飛ばしたり、北朝鮮がごみ風船を韓国に向けて飛ばした場所の攻撃を指示したりしたと告発した。北朝鮮は10月、韓国の無人機が複数回、首都平壌の上空に侵入したと主張していた。
韓国メディアによると、ノ氏は退役後にソウル近郊の京畿道安山市で占師として活動していた。今月1日、同市内のハンバーガー店でムン・サンホ情報司令官(職務停止)と大佐2人に会い、「もうすぐ戒厳が出るから準備しろ」と指示したとされる。
24日付の文化日報はノ氏が「12月3日」と日付を指定し、「戒厳を敷くならば、必ずこの日でなくてはならない」と金氏に助言していたと報じた。当初は金氏が尹氏に非常戒厳を進言したとみられていたが、同紙はノ氏が非常戒厳の「出発点」だった可能性を伝えている。
[時事通信社]