組織の不正などを通報した人を守る公益通報者保護法について、消費者庁の有識者検討会は24日、通報した従業員らを解雇や懲戒処分にした場合は企業などに刑事罰を科すべきだとする報告書をまとめた。政府に対し、来年1月召集の通常国会に同法改正案を提出するよう求める。
同法は内部通報を理由に通報者を解雇や懲戒処分にすることを禁じているが、罰則はなく、抑止力が不十分だとの指摘があった。検討会は配置転換についても罰則の対象に含めるか検討したが、通報との因果関係の判断が困難として含めないことにした。
これまでは、内部通報と解雇・懲戒処分の因果関係の立証責任は従業員側にあったが、検討会がまとめた報告書では、事業者側が立証責任を負うべきだと指摘。通報者を特定しようとする行為についても禁止規定を設けるべきだとした。
消費者庁は5月から検討会で議論を開始。24日の会合後、検討会座長の山本隆司東大大学院教授は「公益通報者保護制度が浸透し、事業者も社会的信頼を得る上で必要になってきた。大きな一歩を進める議論ができた」と話した。
[時事通信社]