日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画の可否は、バイデン大統領に委ねられることになった。買収実現を目指す日鉄は、これまでUSスチールや全米鉄鋼労組(USW)に約束してきた追加投資計画や雇用維持の方針を改めてアピールし、計画の承認を最後まで訴える構えだ。
日鉄はこれまで、USスチールの製鉄所などへ総額27億ドル以上の投資のほか、従業員の雇用維持、技術提供、USスチールの取締役の過半数を米国籍にすることなどを約束。買収成立後に従業員に臨時ボーナスを支給することも決めた。
日鉄は24日に発表した声明で、これらの「日鉄が国家安全保障上の懸念に対応するために取ってきたあらゆる措置や、提示してきたさまざまな約束」が「USスチールを成長させ、米国の雇用を維持し、米国の鉄鋼業界全体を強くし、ひいては米国の国家安全保障を強化する」と主張。その上で「大統領が熟慮することを強く求める」と要望した。
米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)による審査は期限の23日までに全会一致に至らず、一任されたバイデン氏は15日以内に決断を下す。日鉄は判断が出るまで、米国にとっての意義を粘り強く主張し続ける構え。大統領に対し「買収のメリットを公正に評価いただければ、承認いただけると強く信じている」と呼び掛けている。
[時事通信社]