福岡資麿厚生労働相と加藤勝信財務相は25日、2025年度予算編成で社会保障関係費を巡り閣僚折衝を行った。医薬品の公定価格である「薬価」の改定では、全品目の約半数での引き下げで合意。これにより、医療費は2466億円(国費ベースで648億円)削減される。薬価引き下げに伴い、患者負担は軽減される一方、製薬業界の収益にはマイナスとなる。
薬価は従来、診療報酬と共に原則2年に1回改定してきたが、政府は21年度から毎年改定して、市場実勢価格と薬価の価格差解消を図っている。今年9月分の取引の集計では、実勢価格が薬価を平均で約5.2%下回っていた。ただ、毎年改定が創薬力低下や薬の供給不安につながっているとの指摘が相次いでいた。
このため、従来は一律適用していた引き下げルールを見直し、品目ごとの性格に応じてメリハリを付けて改定。後発医薬品(ジェネリック)がある特許切れの医薬品は、幅広い品目を引き下げ対象にした。医療上の必要性が高いものの不採算になった品目は引き上げ、革新的な新薬は現行価格を維持する特例措置を講じた。物価高騰を受け、錠剤や注射剤などの区分ごとに下限値を定めた「最低薬価」も引き上げる。
生活保護費は、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基準額を来年10月から、1人当たり月500円上乗せする。物価高の影響を考慮したもので、24年度までの予定だった1人当たり月1000円の「特例加算」を継続した上で、1500円に引き上げる。26年度までの2年間の措置とする。
[時事通信社]