【ソウル時事】韓国国会は27日、本会議で尹錫悦大統領の職務を代行する韓悳洙首相の弾劾訴追案を可決した。大統領代行の弾劾訴追手続きは初めて。与党「国民の力」は反発し、弾劾訴追の効力停止を求める仮処分を憲法裁判所に申請した。尹氏の「非常戒厳」宣言後の国政の混乱が深刻化している。
韓氏は14日に尹氏が弾劾訴追されたことに伴い職務を代行してきた。最大野党「共に民主党」は26日、憲法裁の裁判官の即時任命に応じなかったことに反発し、弾劾訴追案を国会に提出した。
弾劾訴追案可決を受け、韓氏は「国会の決定を尊重し、これ以上の混乱を与えないため、関連法に基づき職務を停止する」と表明した。大統領代行に就いた崔相穆・経済副首相兼企画財政相は「混乱に乗じて北朝鮮が挑発を敢行する恐れがある」と述べ、軍に警戒強化を指示した。
韓氏の弾劾訴追案の採決に先立ち、禹元植国会議長は、可決ラインは在籍議員の過半数だとの見解を示した。与党は大統領の弾劾訴追に準じて3分の2以上の賛成が必要だと訴えており、議員が議長席の周りで抗議した。与党議員はほぼ全員投票せず、在籍議員300人のうち192人が賛成した。
[時事通信社]