三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の資産が盗まれた事件で、逮捕された元支店長代理、今村由香理容疑者(46)が、顧客の利用頻度を把握した上で、現金や貴金属の盗みを繰り返していたとみられることが15日、警視庁捜査2課などへの取材で分かった。
想定外のタイミングで顧客が来店した際は、金庫室の自動ドアの電源を切って故障を装い、貸金庫を開けさせなかったことも判明。同課は、今村容疑者が不正発覚を防ぐため、さまざまな工作をしたとみて全容解明を進める。
同課や同行によると、今村容疑者は外国為替証拠金取引(FX取引)や競馬で多額の損失を出し、消費者金融の借金返済のため、貸金庫の金品に手を付けるようになったとみられる。
逮捕前の任意の調べに対し、「(顧客の)利用サイクルを意識し、盗む貸金庫を決めたこともある」と供述。予想される来店日に合わせ、盗んだのと同額の現金を別の顧客の貸金庫から移したり、盗んだ金塊を質店に入れて用意したりして、発覚を防いでいた。
現金がなくなっていることに顧客が気付いた場合は「詳しく調べる」と説明していったん帰宅させ、貸金庫に不足額を戻した上で「見つかった」と連絡するなどしていた。
今村容疑者は東京都内の練馬、玉川両支店で支店長代理などを務め、貸金庫の管理を一人で担っていた。支店が保管する鍵で不正に貸金庫を開け、現金などの盗みを繰り返していたとされる。
今村容疑者は2024年9月ごろ、練馬支店の貸金庫から顧客2人の金塊計約20キログラム(約2億6000万円相当)を盗んだとして、窃盗容疑で逮捕された。
[時事通信社]