自民党の裏金問題が首都・東京都議会の自民会派でも明らかになった。派閥裏金事件と同じような構図に、党全体へ厳しい視線が注がれるのは必至。今夏には都議選や参院選が控え、野党は通常国会で追及を強める構えだ。地方組織への飛び火に、早期の幕引きを図りたい政府・自民は危機感を募らせている。
「どこまで広がるのか」。15日、都議会自民会派の政治団体による政治資金パーティー収入の不記載問題が立件されるとの報道を受け、自民幹部は不安げにつぶやいた。別の党幹部は「自民の印象がさらに悪くなる」と話した。
派閥裏金事件による逆風で、自民、公明両党が衆院で過半数を割り込む中、与野党では「次は都議会自民だ」との見方が出ていた。都議会自民は都議にパーティー券の販売ノルマを設定し、販売超過分は都議側が「中抜き」する手法が行われたとされる。
「中抜き」は派閥裏金事件でも問題視され、衆参両院の政治倫理審査会で「裏金議員」に対する審査が行われたが、経緯などの全容は解明されないままだ。自民関係者は「他の地方組織でもこうした手法が行われた可能性がある」と言及。党ぐるみで「裏金」づくりの手法が広がっていた可能性に触れた。
裏金問題の広がりに、野党では自民全体の「体質」とみる向きが強まる。日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は15日、記者団に「国政と同じ構図だ」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は「全国の都道府県連でも行われていた可能性がある。国政を含めた再調査が大事だ」と自民に要求し、都議選でも「『政治とカネ』はテーマにならざるを得ない」と語った。
24日召集の通常国会で、野党は旧安倍派会計責任者(当時)の招致を求めている。立憲民主党の笠浩史国対委員長は15日の党会合で「都議会自民の不記載が報じられている。『政治とカネ』を追及していかねばならない」と述べた。
[時事通信社]