【ワシントン時事】トランプ次期米政権の国務長官候補のマルコ・ルビオ上院議員(53)は15日、人事承認に向けた上院外交委員会の公聴会に出席し、覇権主義的な動きが目立つ中国に強い警戒感を示した。また、米国第一を掲げ自国の利益を優先する「トランプ外交」を推し進め、国際秩序の再編を目指す考えを鮮明にした。
ルビオ氏は「外交通」「対中強硬派」として知られる。公聴会では党派を超えて同氏の手腕に期待する声が相次ぎ、承認手続きは円滑に進む見通しだ。
ルビオ氏は第2次大戦後に米主導で築かれた既存の国際秩序について、「時代遅れなだけでなく、今や米国に対する武器として使われている」と指摘。再編の必要性を強調した。
中国については「うそをつき、だまし、盗みを働き、米国を犠牲にして超大国の地位に上り詰めた」と非難。中国共産党を「米国が直面した中で最も強力で危険な敵だ」と表現した。
その上で、中国との競争は「あらゆる領域において並外れた挑戦だ」と警鐘を鳴らし、国内製造業の再建などで「脱中国依存」を進めていくべきだと訴えた。さらに、米中関係を安定化させるには「台湾やフィリピンへの嫌がらせをやめる必要がある」と中国に要求した。
ルビオ氏は一方で、歴代米政権が堅持してきた「一つの中国」政策を次期政権でも堅持すると表明。米中対話は「中国と米国、そして世界の利益だ」と述べ、衝突を避けるため意思疎通を維持していく方針を明らかにした。
ロシアのウクライナ侵攻を巡っては、停戦実現には「大胆な外交が求められる」として、両国の歩み寄りが必要だとの認識を示した。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に関しては、金正恩朝鮮労働党総書記を「40歳そこそこの独裁者」と名指しし、「核兵器を利用して権力維持の保険としている」と非難。「政策全般を真剣に検証すべきだ」と語り、対北朝鮮外交の根本的見直しを示唆した。
[時事通信社]