【ワシントン時事】20日発足のトランプ米政権は、中国との覇権争いの中、日米同盟強化を進めた前政権の基本路線を踏襲する方針だ。一方、日本の防衛費積み増しを求める声も上がっており、「強く頼れる同盟国」への圧力は強まる見通し。トランプ氏が全輸入品への一律関税に踏み切れば、関係が動揺する恐れもある。
対日外交のキーマンと目されるのが、いずれも対中強硬派のルビオ国務長官候補やウォルツ次期大統領補佐官(国家安全保障担当)、コルビー国防次官(政策担当)候補らだ。ルビオ氏は15日の上院公聴会で、「中国がわれわれの同盟関係を弱体化させるのを許してはならない」と宣言。政権発足直後の21日に岩屋毅外相と会談し、日本重視の姿勢を示す方向だ。
トランプ政権1期目に国家防衛戦略の策定を主導したコルビー氏は昨年、石破茂首相の「対等な同盟」提唱を逆手に取る形で「日本はより強く、国防に真剣になるべきだ」と指摘。「防衛費を対国内総生産(GDP)比3%程度に引き上げる必要がある」と具体的な水準を示し、日本側に取り組みを迫った。
ウォルツ氏は、日米韓、日米フィリピンなどバイデン政権で進展した多国間枠組みは「継続される」と明言。トランプ政権が同盟国・友好国軽視に傾くことを懸念した各国関係者を安心させた。
もっとも、トランプ氏自身が日本に言及することはまれで、対日方針を探る手掛かりは少ない。同氏は同盟国であっても一律関税の対象から除外する考えを示さず、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収にも一貫して反対。「米国第一」を強硬に貫けば経済面で摩擦につながり、同盟にひずみが生じかねない。日米が調整中の首脳会談でのトランプ氏の出方が注目される。
[時事通信社]