政府は人工知能(AI)のリスク対応や国際競争力強化を図るための法案に関し、犯罪や人権侵害など悪質な事例を国として調査し、事業者名を公表できるようにする方針を固めた。罰則や改善命令などの措置は盛り込まない。政府関係者が20日、明らかにした。
AI法案について、政府は2月中の国会提出を目指している。有識者会議「AI制度研究会」(座長・松尾豊東京大大学院教授)から昨年末に受けた提言を基に検討を進めてきた。
法案には、刑法など既存の法令で対処できない悪質事案に関して政府が調査できると明記。調査結果を踏まえ、事業者に直接指導・助言した上で、事業者名を公表できるとする方向だ。
併せて国民に周知し、利用者の安全確保を図る。AI事業者に対しては、政府に情報提供などで協力する「責務」を負うと規定することを検討している。
調査対象としては、AIがサイバー攻撃や詐欺といった犯罪に悪用される恐れのあるケース、差別の助長といった人権侵害につながる可能性のあるケースなどを想定している。
[時事通信社]