1986年に福井市で中学3年の女子生徒=当時(15)=が殺害された事件で、殺人罪で服役し、昨年10月に再審開始が決定した前川彰司さん(59)が25日、静岡市内で開かれた袴田巌さん(88)=再審無罪が確定=の支援者集会で講演した。前川さんは「再審法改正の機運が高まっている。この流れで法改正が進んでほしい」と訴えた。
前川さんは講演で、事件の概要や刑務所での日々、裁判の経過などを振り返った上で、袴田さんの再審無罪に触れ、「冤罪(えんざい)という絶望の向こう側に、希望の光がともっている」と表現。再審法改正については、自身の経験から「刑事事件は大なり小なり冤罪の要素を含んでいる」とし、「そういう認識を持てば自然と再審ももう少し門戸が広がるのではないか」と述べた。
前川さんは事件への関与を一貫して否定。二審名古屋高裁金沢支部で懲役7年の逆転有罪となり、97年に確定した。昨年10月、第2次再審請求審で同支部が再審開始を決定した。
[時事通信社]