【ソウル時事】韓国検察は26日、尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言を巡り、内乱罪で尹氏を起訴した。内乱の「首謀者」と位置付けている。検察は尹氏の身柄拘束期間の延長を認められなかったことを受け、早期の起訴に踏み切った。これにより最長6カ月の拘束が認められる。韓国で現職大統領が起訴されたのは初めて。
内乱容疑で逮捕された尹氏の拘束期間は27日までとされ、検察は起訴して拘束を続けるか、釈放するか決断を迫られていた。尹氏は取り調べにほとんど応じていないが、既に起訴された関係者らの証言や捜査で得た証拠品から罪を立証し、公判を維持できると判断した。
検察は起訴に先立ち、全国の高検や地検の検事長が参加する検事総長主宰の会議を開き、対応を協議した。検察は非常戒厳に絡み、これまでに内乱罪で金龍顕前国防相ら10人を拘束したまま起訴している。
尹氏の弁護団は声明で「戒厳宣言は内乱罪にならない」と争う姿勢を示し、刑事裁判で「捜査の違法性を明らかにする」と強調した。尹氏は戒厳宣言を巡り国会に弾劾訴追され、憲法裁判所で14日に審判の弁論が始まった。弾劾審判と刑事裁判を抱えることになる。
検察は23日と25日の2度、尹氏の拘束期間の延長をソウル中央地裁に申請。しかし、地裁は高官犯罪捜査庁(高捜庁)が既に捜査を終えているとし、いずれも不許可とした。検察は「不許可決定で対面調査といった最小限の補完捜査もできなかったが、共犯事件の証拠資料などから起訴相当と判断した」と説明した。
高捜庁や警察などの合同捜査本部は15日、公邸にこもっていた尹氏を拘束。19日に逮捕した。尹氏はこの間取り調べを徹底して拒否し、同庁は23日、起訴権限を持つ検察に予定より早く事件を送致した。
高捜庁によると、尹氏は2024年12月3日、金氏らと共謀し、憲法秩序を乱す目的で非常戒厳を宣言し、警察や軍を動員して国会が戒厳解除を決議することを妨げたとされる。
[時事通信社]