【イスタンブール時事】トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザの住民を近隣各国に移住させた方がよいと発言したことに対し、移住先の候補に名指しされた関係国が猛反発している。実現の可能性は不透明だが、トランプ政権が一段とイスラエル寄りの姿勢を強めるとの警戒感も高まっている。
トランプ氏は25日、ヨルダンのアブドラ国王やエジプトのシシ大統領に対し、電話協議を通じて受け入れを迫る考えを示した。これを受けガザと接するエジプトは外務省声明で、「固有の土地からパレスチナ人の移住を促したり追放したりすることは、一時的でも長期的でも拒否する」と述べた。
多数のパレスチナ難民を抱えるヨルダンのサファディ外相は、「ヨルダンはヨルダン人のためにあり、パレスチナはパレスチナ人のためにある」と強調。27日にはトルコのフィダン外相と電話会談し、ガザ住民移住への反対で一致した。アラブ連盟も声明で、パレスチナ人追放の試みは過去にも失敗したと指摘し、「民族浄化にほかならない」とトランプ氏の提案を非難した。
イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ首相は来週にも訪米し、トランプ氏の復権後初めて会談する見通し。トランプ氏の提案を巡り具体策を協議する可能性もある。
[時事通信社]