【カイロ時事】イスラエルが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内活動を禁止する法律が30日に施行される。イスラエルのダノン国連大使は28日、「UNRWAや、その関係者とのすべての協力や連絡、接触を断ち切る」と表明。パレスチナ自治区ガザなどでの人道支援に中心的役割を果たしてきたUNRWAの活動が著しい制限を受けることになりそうだ。
ダノン氏は国連安保理の会合で、「法律は48時間以内に施行される。UNRWAは活動を停止し、撤退しなければならない」と断言した。
イスラエルは、パレスチナのイスラム組織ハマスによる2023年10月のイスラエル奇襲にUNRWAの複数の職員が関与したと主張。UNRWA以外の組織でもパレスチナの支援活動は可能との立場を取ってきた。
国連は一部の職員が奇襲に関与した可能性を認めているが、UNRWAのラザリニ事務局長は「UNRWAの能力は他の組織に比べ抜きんでている」と強調。イスラエルの行為は「パレスチナ人の命や未来を傷つけるものだ」と批判している。
米国のシェイ国連臨時代理大使は「UNRWAは唯一の選択肢ではない」とイスラエルを擁護。一方、パレスチナのマンスール国連大使はUNRWAやパレスチナ自治政府だけがパレスチナ住民を支援できるとした上で、「イスラエルはわれわれを破綻に追いやろうとしている」と非難した。
[時事通信社]