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引き返すタイミング逃した=木内登英・元日銀審議委員インタビュー

時事通信 2025年1月29日 17時35分

 日銀は2014年下半期(7~12月)の金融政策決定会合の議事録を公表した。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは当時審議委員として10月31日の会合に臨み、量的・質的金融緩和(異次元緩和)の大幅拡大に反対票を投じた。木内氏はインタビューで「いたずらに長く続けると副作用も大きくなる。引き返すことができた重要なターニングポイントだった」と振り返った。主なやりとりは次の通り。

 ―異次元緩和の拡大に反対した。

 14年前半まで物価は上昇したが、円安や原油高の影響が大きかった。異次元緩和の効果ではなく、円安が一巡すると物価が下がっていった。1年半やって物価が思ったように上がらないのは、政策の効果がないからだと考えた。それを長く続けたり、さらに拡大したりするのは副作用ばかりが高まると懸念した。

 ―どうすべきだったのか。

 効果がないのであれば、政策の方向を変えるとか縮小するのが自然な形だ。引き返すことができた重要なターニングポイントだった。転換できていれば、(副作用の)傷はもっと浅かった。しかし、せっかくうまくいっていたものが、消費税増税で頓挫したと考え、もう一度エネルギーを充満してやろうというのが緩和拡大だった。

 ―異次元緩和の総括は。

 長期金利をわずかに下げたくらいで効果はかなり限られた。財政規律の緩みを招いたことが、何十年先に財政危機につながるかもしれない。将来大きな副作用を生むリスクを考えると、それに見合わないリスクを取ったのではないか。 

[時事通信社]

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