米航空宇宙局(NASA)の探査機オシリス・レックスが地球に持ち帰った小惑星「ベンヌ」の砂などの試料から、33種類のアミノ酸のほか、DNAやRNAを構成する5種類の核酸塩基など生命に関連する有機化合物を多数検出したと、北海道大、東北大、九州大などの研究者が参加する国際研究チームが30日、発表した。
アミノ酸や核酸塩基の一部は日本の探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の試料からも見つかっており、地球生命の元となる物質が宇宙からもたらされたという仮説を補強する成果になるという。
オシリス・レックスは2020年に表面から砂などを採取し、23年9月、試料を収めたカプセルを地球に投下。カプセルからは、ベンヌの砂約120グラムが回収された。
北大の大場康弘准教授らが加わる有機化合物分析チームは、含まれる有機化合物やアミノ酸などを分析。未同定のものを含め、1万種類以上の有機化合物を検出した。この中には、地球上の生命体を構成する20種類のうち14種類を含む33種類のアミノ酸や、DNAやRNAに必須の5種類の核酸塩基などもあった。
りゅうぐうの試料と比較すると、アミノ酸濃度が5倍近く高かったほか、生命に関連する有機化合物の材料となるアンモニアが非常に多く存在していた。
大場准教授は「核酸塩基5種類すべてが検出されたのは画期的な成果。こうした有機化合物が地球外でも普遍的に存在しており、生命誕生前の地球環境に供給されたと考えて間違いない」と話した。
[時事通信社]