【バンコク時事】ミャンマーで国軍がクーデターで実権を握ってから、2月1日で4年。国軍は選挙を実施して親軍政権を樹立する意向とみられ、介入を強める中国もこれを支援する。だが、抵抗勢力との戦闘で国軍は劣勢に立たされ、国内避難民が約350万人に達するなど人道状況も悪化。紛争終結への道筋は見えていない。
国軍は1月31日、クーデター時に発令した非常事態宣言を6カ月間延長すると発表。延長を決めた会議で、国軍トップのミンアウンフライン総司令官は「国内の治安情勢は選挙実施に適していない」と述べた。
国軍は2021年2月、クーデターで民主派政権を倒し、民主化指導者アウンサンスーチー氏らを拘束。民主派と一部の少数民族武装勢力が武力による抵抗を開始し、内戦状態に陥った。23年10月の戦闘本格化以降、国軍は北東部シャン州や西部ラカイン州で管区司令部を奪われるなど、劣勢に立たされている。
中国は、インド洋につながる要衝でレアアース(希土類)を輸入するなど貿易も活発なミャンマーを重視。一部の少数民族と国軍との停戦を仲介し、民政移管を演出する選挙も支援する。国軍は24年10月、有権者名簿作成のための国勢調査を実施。しかし、全国330郡区のうち58郡区では、紛争のため調査ができなかった。
人道状況も悪化が続いている。ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会」によると、クーデター後に国軍が殺害した市民や民主活動家は今年1月末時点で6200人以上。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、国内避難民は24年末時点で1年前と比べ約90万人増えた。
ミャンマー情勢が専門の中西嘉宏京都大准教授は「これまで日本を含む国際社会がミャンマーのために行った外交的なアプローチは、どれも有効ではなく、再考する必要がある」と指摘。今後も不安定な状況が続きかねないと懸念した。
[時事通信社]