総務省が31日に発表した2024年の人口移動報告では、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の転入超過が13万人を超えた。政府が地方創生に取り組んで10年が経過したが、東京一極集中に歯止めはかかっていない。特に女性や若者が地方を離れる傾向が目立っており、政府はこうした人たちに「選ばれる地方」づくりに力を入れる。
地方創生が本格始動した14年以降、一部の自治体では移住者の増加で人口減少を食い止めたほか、コロナ禍では一時、都外への転出が増えるなど変化の兆しも見られた。ただ、22年以降は3年連続で東京圏の転入超過が拡大し、27年度にこれを解消するとの目標は達成困難な状況だ。
24年に転出超過だった40道府県のうち、32道県では男性より女性の方が超過数が多かった。また、東京圏の転入超過を世代別に見ると、ほとんどを15~29歳の若年層が占める。進学や就職を契機に女性や若者が地方を離れ、東京圏に移っている実態がうかがえる。
政府は、地方に魅力的な職場が少ないことや、男女の待遇差、固定的な性別役割分担意識が残っていることなどが背景にあるとみて、地域の職場改革に乗り出す。
昨年末に決定した「地方創生2.0」の「基本的な考え方」では、男女間の賃金格差是正や、性別に関する無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に取り組むと明記。関係省庁によるサポートチームも設け、自治体や各地の経済界などと連携して改善策を模索する。
[時事通信社]