衆院予算委員会で31日、与野党の本格的な論戦が始まった。立憲民主党は政治改革、2025年度予算案修正、選択的夫婦別姓制度導入の3テーマを論点に据え、石破茂首相に相次ぎ要求を突き付けた。首相は煮え切らない答弁に終始したが、立民は今夏の参院選に向けた実績づくりのため、対決姿勢を強める構えだ。
「自民党総裁として参考人招致に応じるよう促すべきだ」。立民の奥野総一郎氏は、派閥裏金事件の真相究明に向け、旧安倍派会計責任者(当時)の招致実現を呼び掛けたが、首相は慎重姿勢を示しつつ「その方は民間人で、私は(出欠を)申し上げる立場にない」と繰り返した。
参考人招致は、自民が反対する中、野党の賛成多数で議決された。招致の議決は「全会一致」が慣例。これが崩れたのは半世紀ぶりだ。
立民は招致実現へ圧力を強めつつ、「政治とカネ」の問題に消極的な石破政権の姿勢を、予算審議で浮き彫りにする戦略を描く。予算委で、長妻昭代表代行は東京都議会自民会派の裏金事件の使途公開や、政治改革の焦点となる企業・団体献金の禁止を首相に迫った。
昨年の臨時国会で、立民は能登半島地震・豪雨の復旧・復興費の増額を要求。政府・与党はこれに応じて24年度補正予算を修正した。今国会でも、立民は25年度予算案を精査する作業チームを設置し、その再現を狙う。
予算委では早速、城井崇氏が学校給食費や高校授業料の無償化などを矢継ぎ早に提起。同時に、政府基金の見直しで約7兆7800億円の財源を確保できるとの試算も示し、「ぜひ予算修正を検討してほしい」と求めた。首相は「より良い方向を目指したい」と含みを残しつつ、「現時点で最もふさわしい予算として提案している」と明言を避けた。
選択的夫婦別姓でも、酒井菜摘氏が旧姓の通称使用拡大では不都合は解決しないと断じ、早期の制度導入を主張。首相は「わが党の中で議論の頻度を上げ、解を見いだす」と述べるにとどめた。
予算審議を巡っては、国民民主党が「年収103万円の壁」見直し、日本維新の会が高校無償化で、与党と協議を重ねている。立民内には「埋没」懸念もくすぶっており、政権交代への「ステップ」と位置付ける参院選や、その前哨戦となる都議選に向け、見せ場をつくりたい考えだ。
「国会審議で史上最大規模の予算の無駄を洗い出し、首相をただしていく」。立民の野田佳彦代表は31日の記者会見でこう意気込んだ。
[時事通信社]