【ワシントン、サンパウロ時事】ルビオ米国務長官は2日、中米パナマの首都パナマ市でムリノ大統領と会談し、パナマ運河の管理を巡って協議した。ルビオ氏は運河周辺への中国の影響力は脅威だとして、改善がなければ必要な措置を講じると警告。ムリノ氏は会談後の記者会見で、米側の疑念払拭に努める立場を表明した。
米パナマ両政府が発表した。運河は1999年に全面返還され、パナマ政府が管理しているものの、トランプ米政権は香港に拠点を置く企業が運河周辺の港を運営していることなどを問題視している。
ルビオ氏は会談で、中国共産党がパナマ運河周辺地域に影響力を及ぼしている状況は脅威であり、運河の中立を定めた条約に違反するという「予備的な判断」をトランプ大統領が下したと説明。現状は「容認できない」として、改められなければ条約に基づき、米国の権利を保護する措置を取る考えを示した。
ムリノ氏は会見で、パナマが今後も運河を管理することに「(ルビオ氏と)意見の相違はなかった」との認識を強調。米国と技術レベルの話し合いを始める方針を示した。香港企業に対してパナマ政府が監査を行っているとも説明し、「適切に行動する」と述べた。
さらに、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に関し、2017年に交わした覚書を更新しない考えを明らかにした。パナマは同年に中国と国交を樹立し、台湾と断交している。
条約では「あらゆる脅威」から運河を防衛するため、米国が「一方的な行動」を取ることが認められている。トランプ氏は2日、記者団に対し、パナマ側が条約に違反しているとの認識を示し、「運河を取り戻す。さもなければ非常に強力なことが起きるだろう」とけん制した。
ルビオ氏のパナマ訪問は就任後初の外遊で、会談後には運河を視察した。会談では、トランプ政権が取り組みを強化している不法移民問題についても協議。ムリノ氏は、移民の強制送還に関する米国との協力拡大に意欲を示した。
[時事通信社]