木村隆二被告は被選挙権を巡り国を相手取って訴訟を起こすなど、政治に強い不満を持っていたとみられる。捜査段階では黙秘を続けており、公判ではこうした不満が事件の動機につながったのかどうかの解明も焦点となる。
木村被告は2022年6月、自身が30歳に達しておらず、供託金も用意できなかったことを理由に参院選に立候補できなかったのは違憲だとして国に10万円の損害賠償を求めて提訴。代理人弁護士を付けない本人訴訟で、一審神戸地裁は同11月に請求を棄却した。事件が起きたのは木村被告が控訴中の23年4月だった。
22年7月には、奈良市で演説中の安倍晋三元首相が銃撃されて死亡する事件が起きた。木村被告は提訴に合わせて開設したとみられるツイッター(現X)アカウントで、岸田文雄前首相が安倍元首相の国葬を決定したことや、世襲政治などへの批判を繰り返していた。
事件後の23年5月、二審大阪高裁は参院選の被選挙権を満30歳以上とする公選法の規定には合理性があるとして木村被告の控訴を棄却。双方上告せず、木村被告の敗訴が確定した。
また、24年11月には、和歌山地検の男性検事が、黙秘する木村被告に対し「かわいそうな木村さん」などと侮辱するような発言をしたとして、弁護人が最高検に抗議していたことが判明。最高検は録音・録画された取り調べの様子を調べた上で、「不適正だった」と認定した。ただ、その後も黙秘を続けたため、公判への影響はないとみられる。
[時事通信社]