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「トランプ氏の利益にならず」=ロシア有利の停戦けん制―ウクライナ高官インタビュー

時事通信 2025年2月5日 14時21分

 【キーウ時事】ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は4日、ロシアによる侵攻が続く中、トランプ米大統領が意欲を見せる停戦交渉について「ロシアの出す条件で戦争を終わらせるのは、トランプ氏にとって決して利益にならない」と語り、「現実に即した決断を期待している」と強調した。首都キーウ(キエフ)で時事通信のインタビューに応じた。

 ウクライナのゼレンスキー政権は「ディール(取引)」による停戦を目指すトランプ氏によって不利な条件をのまされることを警戒している。ポドリャク氏は「もし戦争終結のシナリオが、ウクライナの犠牲の下にロシアに何かを与える形になれば、ロシアの攻撃的な行動をさらに駆り立てることになる」と指摘。「欧州方面だけでなく、太平洋地域にも関係してくる」とけん制した。

 ロシアのプーチン大統領に関しては「ウクライナや他の国々と交渉する気などない。交渉という幻想をつくり出し、戦争を続けるための隠れみのにしようとしている」と批判。「見せ掛けの交渉プロセス」を通じて、国際政治の舞台に戻るのがプーチン氏の狙いだという見方を示し、交渉の間もロシアは軍事的拡張などを画策するだろうと述べた。

 トランプ氏とゼレンスキー大統領の対面会談については「準備中」と説明。「トランプ氏のチームは現在、戦争終結の『公式』をまとめようとしている。会談は十分に準備されてから行われる」との見通しを示した。

 トランプ氏が支援の見返りとして、レアアース(希土類)供与をウクライナに求めていることに関しては「非常に現実的なやり方だ」として、共同投資の可能性に言及。米国には「ウクライナと共に資源をコントロールし、世界市場で優位に立つか」「ロシアに資源を明け渡すか」の選択肢があると述べた。

 侵攻開始から間もなく3年となるが、ポドリャク氏は「ロシアに全面戦争を仕掛けられたら、持ちこたえられるはずがないと、誰もが思っていた」と指摘。「残念ながら戦争は長期化し、ウクライナにとって苦しい状況だが、ロシアは恐れるべき国ではないことが明らかになった」と語った。

 

 ◇ポドリャク氏インタビューのポイント

 一、ロシアの出す条件での戦争終結は、決してトランプ米大統領の利益にならない

 一、トランプ氏には現実に即した決断を期待

 一、ウクライナの犠牲の下に戦争が終結すれば、ロシアの攻撃的な行動をさらに駆り立てる

 一、ロシアのプーチン大統領に交渉する気はなく、戦争を続けるための隠れみの

 一、ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ氏の会談は、十分に準備されてから行われる

 一、トランプ政権がウクライナに求めるレアアース(希土類)供与で、共同投資の可能性も

 一、侵攻開始から間もなく3年だが、ロシアは恐れるべき国ではない。 

[時事通信社]

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