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経済開発通じガザ再建の思惑=実現不透明、中東混乱も―トランプ米大統領

時事通信 2025年2月5日 18時39分

 【ワシントン時事】パレスチナ自治区ガザの戦後復興計画を巡り、トランプ米大統領が新たな提案を公表した。「不動産王」としての経験を基に、戦乱が続くガザに経済開発を通じて安定をもたらす構想だが、パレスチナ国家樹立を目指す「2国家共存」による中東和平とは懸け離れた内容で、実現するかどうかは不透明。地域に新たな混乱をもたらす恐れもある。

 「世界中から人が集まり住むだろう。パレスチナ人もだ」。トランプ氏は4日、イスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザを「中東のリビエラ」と表現し、地中海沿岸の保養地のような名高い観光地に発展する可能性があると主張した。

 ガザの戦後計画としては、ブリンケン前米国務長官が1月に発表した構想がある。パレスチナ自治政府とガザの代表者から成る「暫定政権」を発足させ、国連高官の監督の下、国際社会の協力を得て復興に取り組む内容だ。

 ブリンケン氏は「イスラエルによる長期的なガザ占領を受け入れない」とたびたび明言し、イスラム組織ハマスの影響力を排除した上で自治政府がガザを統治すべきだという考えを示していた。再建の主体はあくまでパレスチナ人で、米国やイスラエルが主導することは想定していなかった。

 トランプ氏の発表後、アラブ諸国の盟主を自任するサウジアラビアは外務省声明で、パレスチナ国家樹立を目指すサウジの立場は「確固として揺るがない」と表明。強制移住の試みなど「パレスチナ人の正当な権利の侵害を拒否する」と述べ、こうした立場をトランプ政権にも説明済みだとくぎを刺した。

 トランプ氏は2期目の外交目標として、イスラエルとサウジの国交正常化を掲げる。しかし、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子はパレスチナ国家樹立を正常化の条件に挙げている。トランプ氏の新提案は、サウジやヨルダンといった中東各国を巻き込んで大きな混乱を引き起こすのは確実だ。 

[時事通信社]

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