新たに導入された衆院予算委員会の「省庁別審査」で、立憲民主党は2025年度予算案の問題点を浮き彫りにしようとした。審査を予算案修正に向けた主戦場と位置付け、「無駄遣い」を中心に政府を追及。日本維新の会や国民民主党が与党との協議を通じて政策の実現を迫る中、国会審議という「正攻法」で修正を勝ち取りたい考えだ。
「基金に積み過ぎた分を財源に物価高対策に充ててほしい」。立民の城井崇氏は5日の予算委で、政府支出のうち各種基金への積み立てをやり玉に挙げた。
立民は予算委で「支出の無駄」を次々と取り上げた。馬淵澄夫氏は、新型コロナ禍以降の給付金支給に事務費の無駄が多いと問題視。高額療養費制度の自己負担額上限を引き上げる政府方針をやめさせられると主張した。川内博史氏は防衛装備品輸出を支援する基金の見直しを求めた。
予算案を巡り、維新は高校授業料無償化、国民民主は「年収103万円の壁」見直しでそれぞれ与党と協議を続ける。立民も1月21日に自民、公明両党と政調会長会談を開いたものの、国会審議で予算案の修正を訴える姿勢を貫いている。
立民が維新、国民民主と一線を画す背景には、野党第1党として「政権担当能力を示す」(関係者)狙いがある。若手の一人は両党を「おねだり合戦だ」と酷評する。笠浩史国対委員長は5日の党会合で「歳出にも責任を持つ。個別に精査し行政監視機能を発揮する」と強調。財源の裏付けを示しながら、学校給食無償化などの政策実現を求める考えだ。
省庁別審査は、これまで衆院での予算案審議の終盤に開かれていた分科会に代わるもので、予算委員長ポストを握る立民主導で実現した。野党は分科会を「陳情ばかりやってきた」(関係者)と指摘。政府関係者も「形骸化していた」と認める。
立民は今月中旬にも予算案の修正案を示す構えだが、戦略が奏功するかは見通せない。立民源流の旧民主党政権はマニフェスト(政権公約)に掲げた子ども手当などの看板政策について、当初は「無駄の排除」などで財源を捻出できると主張したが頓挫。当時を知るベテランは今回の省庁別審査について「地味な事業仕分けだ」と自嘲気味に語った。
[時事通信社]