2024年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が計1989.5億円(暫定値)に上ったことが6日、警察庁のまとめで分かった。特殊詐欺は前年比269億円増の721.5億円(同)、投資・ロマンス詐欺は同812.8億円増の1268億円(同)で、いずれも過去最悪だった。
被害額が増えた一因にインターネットバンキングの普及がある。非対面で高額送金でき、金融機関の窓口での被害防止策が通用しない。同庁が特殊詐欺のうち、500万円以上を振り込ませた事案に絞って調べたところ、60.6%がネット送金で、被害額の67.3%を占めていた。
特殊詐欺の認知件数は前年比10.2%増の2万987件。年間被害額はこれまで14年の565.5億円が最多で、近年は200億~400億円台で推移していた。
手口別では、オレオレ詐欺の被害額が急増し、同319.3億円増の452.8億円に上った。特に、警察官を装って捜査のためなどとして振り込ませるケースが目立つという。高齢者に加え、30~50代の被害が増えている。
一方、投資・ロマンス詐欺の認知件数は前年比6318件増の1万164件で、うち4903件はネット送金だった。既遂1件当たりの被害額は平均1247.9万円で、特殊詐欺の平均352.5万円を大きく上回った。
投資詐欺では、1~4月には著名人らに成り済ました偽広告などを入り口とする事案が急増したが、7月以降はインスタグラムなどのダイレクトメッセージで接触した後、ラインでのやりとりに移る事案が目立った。ロマンス詐欺ではマッチングアプリを通じ、知り合うケースが3割を超えた。
[時事通信社]