三井住友信託銀行の管理職だった元社員がインサイダー取引を行っていたとされる疑惑で、元社員は少なくとも次長だった2022年から複数の銘柄で不正な株取引をしていた疑いがあることが6日、関係者への取材で分かった。
証券取引等監視委員会は同日までに、金融商品取引法違反容疑で元社員の関係先を強制調査した。東京地検特捜部への告発も視野に調べを進めている。
関係者によると、元社員は三井住友信託銀行の証券代行部門で管理職だった50代男性。次長だった22年に株を不正に売買し、翌23年に部長に昇進した後も行っていたという。
業務を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)情報などを基に複数の銘柄で取引していた疑いがあり、不正に得た利益は3000万円近くに上るとみられる。監視委の調べに対し、元社員は不正取引を認めているという。
元社員は昨年10月、同行に不正を自己申告し、11月1日付で懲戒解雇された。三井住友トラストグループは同月、独立社外取締役や外部の弁護士で構成する調査委員会を設置。原因究明や他に同様の事案がないかなどについて調べている。
金融業界では、金融庁に出向していた元裁判官や東京証券取引所の元社員がインサイダー取引に関与したとして、金商法違反の罪で特捜部に在宅起訴されるなど、不祥事が相次いでいる。
[時事通信社]