南極半島・ベガ島の約6900万年前(白亜紀後期)の地層から、初期水鳥のほぼ完全な頭骨化石が見つかったと、米オハイオ大などの研究チームが6日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
約6600万年前(白亜紀末)にはメキシコ・ユカタン半島沿岸に巨大隕石(いんせき)が衝突し、恐竜を含む動植物が大量に絶滅した。鳥類の一部は生き延びており、その後繁栄した種との関係を調べる研究を通じ、環境の変化にどう適応したかを探る手掛かりになるという。
南極半島は南極大陸から南米大陸方向に突き出ており、当時は現在より温暖で緑が豊かだった。水鳥の学名は「ベガビス・イアアイ」で、空から浅い海に飛び込み、細長いくちばしで魚を捕らえていたとみられる。水中でくちばしを素早く閉じられるよう、筋肉が発達していた形跡があった。
過去に見つかった化石からは、脚が後ろ向きで、水をかいて進みやすかったことが分かっている。
大量絶滅の数百万年後、南極半島にはベガビスと体形が似ているものの、大柄な「コンフリクト」類が生息していた。化石の分析では、陸上の河川や湖沼で魚などをついばんでいたとみられ、環境の変化に対応した進化や種の分化の解明が期待される。
[時事通信社]