【ワシントン時事】トランプ米大統領は6日、国際刑事裁判所(ICC)当局者への経済制裁や渡航制限を可能にする大統領令に署名した。ICCが2024年11月、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことへの対抗措置で、容認しない姿勢を示した。
ICC当局者やその家族らが制裁対象となる可能性がある。実施されれば米国内の資産が凍結されるほか、米国への渡航が制限される。
大統領令では「ICCが正当な根拠もなく、米国やイスラエルの職員への管轄権を主張した」と指摘。ネタニヤフ氏やガラント前国防相に対する逮捕状の発付を「権力の乱用だ」と非難し、「この悪質な行為は米国の主権を侵害する恐れがあり、米国とイスラエルの国家安全保障と外交政策の取り組みを損なう」と強調した。
オランダのハーグに本部を置くICCでは昨年3月、赤根智子氏が日本人として初めて所長に選出された。赤根氏は先に「(ICCの)独立性や公平性に影響を及ぼそうとする試み」として、米国の制裁実施に反発する姿勢を示していた。
トランプ氏は政権1期目の2020年にも、アフガニスタンでの米兵の戦争犯罪捜査を容認したなどと批判して大統領令に署名。ICC主任検察官らに対する制裁を発動したが、バイデン前政権が解除していた。
米議会は今年1月、ICC側に制裁を科す法案の成立を目指したが、上院で否決された。
[時事通信社]