【ワシントン時事】石破茂首相とトランプ米大統領による初の日米首脳会談。故安倍晋三元首相が第1次政権時のトランプ氏と「蜜月関係」を築いたことはいまだ記憶に新しい。安倍氏のライバルだった石破氏はトランプ氏とうまく渡り合えるのか。外交手腕に国内外の注目が集まる。
「日本が好きだ。楽しみにしている」。トランプ氏は先月31日、石破氏との会談についてこう記者団に語った。しかし、石破氏の名前は口にせず、代わりに「安倍首相はとても近しい友人だった。彼の身に起きたことはとても悲しい。最も悲しい日だった」と安倍氏の死を振り返った。
「シンゾー」「ドナルド」と呼び合う関係は2016年11月、安倍氏がニューヨークに大統領就任前のトランプ氏を訪れたところから始まった。「ケミストリー(相性)も合った」(安倍氏)2人は共通の趣味のゴルフを重ね、「親密な関係」(ニューヨーク・タイムズ紙)を築いていった。
在任中、対面の会談は14回を数えた。各国首脳がトランプ氏に振り回される中、トランプ氏が安倍氏に電話し、政策について意見を求めたこともあったという。夫人同士の関係は今も続いており、昭恵夫人は昨年12月、フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」に招待された。
「オタク気質」と言われる石破氏は肌合いが安倍氏とは異なる。同僚議員の間では「石破氏は飲み会より読書の時間を大切にする」との評が専ら。石破氏は酒豪だが、トランプ氏は酒を飲まない。高校時代はゴルフ部に所属していた石破氏だが、今のところ「ゴルフ外交」に乗り気ではない。
石破氏とトランプ氏の共通点は長老派のクリスチャンという背景を持つこと。ただ、米メディアによると、トランプ氏は「無宗派のキリスト教徒になった」とも語っており、宗教に関する話題で話がどこまで弾むかは未知数だ。
3日の衆院予算委員会で「トランプ氏は意外と人の意見をよく聴くと聞いている。ひょっとしたらケミストリーが合うかもしれない」と語った石破氏。側近はトランプ氏とのつきあい方を相談され、こう答えたという。「首相に安倍氏のまねはできない。自分のやり方でやればいい」。
[時事通信社]