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国民負担に懸念=半導体支援拡大へ法改正案―ラピダス念頭・政府

時事通信 2025年2月7日 19時6分

 政府は7日の閣議で、次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)をはじめとする半導体企業を後押しするため、国の出資を可能とする情報処理促進法などの改正案を決定した。法改正で支援手法が拡充される。2027年の量産開始を目指す同社には1兆円弱の国費投入が決定済みで、特定企業への巨額支出には批判が根強い。事業の成否次第で国民負担となるリスクもつきまとう。

 改正案では、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が金融支援の新業務を担う。資金出資のほか、施設や設備の現物出資、金融機関の融資に対する債務保証などが新たに可能になる。政府は法案が通れば今年後半にもラピダスに1000億円を出資する方針だ。

 半導体支援を巡り、政府は過去に手痛い失策を犯した。エルピーダメモリに対し、「日の丸半導体」の生き残りを懸け、日本政策投資銀行を通じて300億円の出資などを行ったが、12年に経営破綻し最大で280億円の国民負担が生じた。

 特定企業への支援には批判の声が上がる。7日の衆院予算委員会では野党議員からラピダスなどへの政府支援に関する厳しい質問が飛んだ。武藤容治経済産業相は同日の閣議後記者会見で、「日本で生産することにより、世界に新たに貢献できる(かどうか)という分岐点にある」と支援の必要性を強調した。

 今回の金融支援では、対象企業を公募で選び、支援実施後も有識者会議で定期的に監視。量産できない場合、選定を取り消す規定も盛り込んだ。ラピダスは4月、試作ラインを稼働させる。量産技術の確立はこれからで、資金調達や顧客獲得など課題は山積する。安定した資金確保や生産への道は険しく、支援の終着は見通せない。 

[時事通信社]

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