長野県のひき逃げ事件で、死亡した和田樹生さん=当時(15)=の両親は7日、最高裁判決後に東京都内で記者会見した。母の真理さん(53)は樹生さんの遺影を胸に抱え、「判決を聞いた瞬間涙があふれた。事故の被害者が直ちに救護されることにつながれば」と話した。
父の善光さん(54)は、判決言い渡しの場面について「ようやく(求めていた結論に)たどり着いたということで、一瞬力が抜けた」と振り返った。「失われる命があってはならないという思いが少しは通じたのかな」と語った。
真理さんは今後、同県にある樹生さんの墓前を訪れるといい、「救護義務違反が認められたことを伝えたい」と涙声で話した。善光さんは「(事件から)10年近くかかったが、樹生も安堵(あんど)していると思う。時間がかかり過ぎたことについては謝りたい」と息子への思いを口にした。
池田忠正被告(52)に対し、真理さんは「奪った命の大きさを考えてほしい」と怒りをにじませ、善光さんも「(これまで)自己保身の言動のみで、自分を見詰め直すことが全くなかった」と非難した。
[時事通信社]