【ワシントン時事】石破茂首相は7日昼(日本時間8日未明)、米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と初めて対面で会談した。トランプ氏は対日貿易赤字の解消に意欲を表明し、達成できない場合は日本に対する新たな関税措置もあり得るとの認識を示した。首相は日本企業の対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模へ拡大させる目標を伝え、理解を求めた。
会談は少人数会合とワーキングランチを合わせて約1時間50分行われた。ただ、約30分の少人数会合では取材に入った米記者団によるトランプ氏への質問が相次ぎ、意見交換は限定的となった。
両首脳は同盟関係を強化し、安全保障協力や経済分野の連携を強める方針で一致。会談後、「日米関係の新たな黄金時代を追求する」とうたった共同声明を発出した。
トランプ氏は冒頭、対日赤字について記者団の問い掛けに応じる形で「(日本と)協力して均衡に戻したい」と明言。実現しない場合の対応に関して「関税も選択肢か」と問われ、「そうだ」と答えた。
首相はトランプ氏に、日本の対米投資は過去5年間世界でトップだったと説明し、「これからもっと伸ばしていきたい」と伝達。「互いの利益になることが重要だ」と強調した。会談後の共同記者会見では、現在年間約8000億ドルの対米投資について「1兆ドルに引き上げたい」と述べた。
会見で首相は、バイデン前大統領が中止を命じた日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画についてトランプ氏と協議したことを明らかにし、「買収ではなく投資だ。どちらかが利益を得る一方的な関係にならないとの認識を強く共有した」と説明した。
共同声明は「経済パートナーシップを新たな次元に引き上げる」と宣言。人工知能(AI)や量子コンピューター、半導体など重要技術の分野で協力し、米国から日本への液化天然ガス(LNG)輸出を拡大する方針を打ち出した。
トランプ氏はLNGに関し、「日本が近く記録的な量の輸入を始める」と語った。米アラスカ州の石油・天然ガスに関する日米合弁事業を巡り協議しているとも明らかにした。
[時事通信社]