能登半島地震発生から1年が過ぎ、長期化する避難生活でのペットの扱いが課題になっている。預かりから約1年で譲渡を勧める団体が多い中、NPO法人「日本動物介護センター」(岐阜市)は飼い主が引き取るまで預かり続ける。山口常夫理事長(73)は「ペットを助けることが人を助けることにもなる。少しでも力になれれば」と話す。
「復興には時間がかかり、長期の預かりになると思うがお願いしたい」。被災後の昨年1月中旬、センターに愛犬の預かりを依頼するメールが届いた。ボーダー・コリーの「レオン」は、地震による液状化が深刻だった石川県内灘町で被災。飼い主は倒壊家屋にレオンを残し、避難所から連日往復して世話した。
ただ、家屋は取り壊しが決まり、レオンも移動を余儀なくされたため、飼い主は預かりを依頼した。センターに来て1年が経過したが、飼い主は避難生活を続けており、引き取り時期は未定だ。
同県輪島市で被災したミックス犬「リンゴ」は、被災後の1カ月で6カ所の避難所を転々とした。ペットと一緒に生活できる避難所は結局見つからず、センターに預けることになった。ペット入居可能なアパートが幸い見つかり、8月には金沢市内で家族と再会。飼い主は「一緒に暮らせて本当にうれしい」と喜んだという。
センターは2008年に設立され、東日本大震災では48頭、16年の熊本地震では10頭の犬を預かった。山口理事長は「住む場所から離れて世話するのは大変だが、被災地でのペット支援は東日本大震災以降、ほとんど変わっていない」と指摘。「ペットも家族の一員。困っている人やペットを助けたい」と長期預かりを続ける考えだ。
[時事通信社]