【シリコンバレー時事】第97回米アカデミー賞の主演女優賞候補で、スペイン出身の俳優カルラ・ソフィア・ガスコンさんが過去に行った差別的発言が露見し、批判を浴びている。出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダー女性として初めて同部門にノミネートされたが、自身で快挙に水を差した形。辞退を求める声も上がっている。
ガスコンさんは、フランス映画「エミリア・ペレス」に主演。同作は今回最多の13ノミネートを果たし、性別適合手術を受け女性になるメキシコの麻薬カルテルのボス役ガスコンさんの演技も評価された。
多くのメディアがガスコンさんのノミネートを「歴史をつくった」と報じた。ただ、その後、ガスコンさんがX(旧ツイッター)上で攻撃的な発言を繰り返していたことが明らかになった。
ガスコンさんはイスラム教徒について「治療が必要な憎悪の根源」と主張。米中西部ミネソタ州で2020年、警官に首を圧迫され死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんを「麻薬中毒者の詐欺師」とも表現した。アカデミー賞の多様性批判も展開している。
ガスコンさんは批判を受けXアカウントを削除し、再三にわたり陳謝した。ただ、エミリア・ペレスのジャック・オーディアール監督もガスコンさんと連絡を絶ったと発言する状況だ。
トランプ大統領が「性別は男女のみ」と宣言する中、アカデミー会員はガスコンさんを候補に選び、多様性を擁護する姿勢を示した。象徴的な存在となった当人が、少数者らに向けた悪意に衝撃が広がっている。
[時事通信社]