動画配信やクラウドサービスの利用が浸透する中、海外向けの支払いに伴う日本の「デジタル赤字」拡大が止まらない。2024年の国際収支速報によると、デジタルに関連した収支は6兆6506億円の赤字と過去最大を更新。比較可能な14年からの10年で3倍超に達した。企業や個人がクラウドやネット広告などのサービスを海外のIT大手に依存する構図が続いている。
デジタル関連収支とは、国際収支のサービス収支のうち音楽や動画配信サービスの「著作権等使用料」、クラウドサービス使用料などの「通信・コンピューター・情報サービス」、ネット広告を含む「専門・経営コンサルティング」を指す。
いずれも利用が拡大しているが、デジタル分野では米国のマイクロソフトやグーグルなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大ITが支配的で、日本は受取額を上回るペースで支払額が増加。特に通信・コンピューター・情報サービスの24年の赤字額は、前年比1.5倍の2兆4941億円に上った。
24年の経常収支は貿易赤字の縮小や海外への投資による配当金・利子の収益増で、過去最大となる29兆2615億円の黒字を確保した。しかし、貿易・サービス収支は6兆5152億円の赤字。訪日客の増加で旅行収支が過去最大を更新した一方、デジタル関連収支が重荷となった。
経済産業省が昨年10月に公表した試算によると、30年にはデジタル赤字が10兆円に達し、24年の原油輸入額に肩を並べる規模になる見通し。国内のデジタル技術基盤の強化が急務となっている。
[時事通信社]