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補助金再開の司法命令従わず=三権分立の弱体化懸念―米政権

時事通信 2025年2月11日 14時1分

 【ワシントン時事】米東部ロードアイランド州の連邦地裁は10日、トランプ政権が凍結した政府の補助金支出について、再開を命じた同地裁の命令に従わなかったとし、重ねて凍結解除を命じた。この間、政権幹部からは裁判所の権威を否定するような発言も飛び出し、三権分立や法の支配の弱体化が懸念されている。

 政府支出の大幅削減を目指すトランプ政権は1月、「官僚機構の膨大な浪費に目を向ける」(トランプ大統領)ことを理由に、補助金や融資など政府資金の拠出凍結を各機関に指示。支援団体などから大きな反発を受けた上、裁判所の差し止め命令も出たため、わずか2日で凍結撤回を表明した。

 だが実際には拠出を停止し続けており、ロードアイランドを含む複数の州が提訴した。地裁は命令違反が法廷侮辱罪に当たる可能性も指摘し、直ちに拠出を再開するよう命じた。

 これに対し、ホワイトハウスは「トランプ政権の全ての行為は合法だ」(報道担当官)として控訴する構え。ニューヨーク・タイムズ紙は「行政府と司法府の重大な対立に発展する可能性がある」と指摘した。

 トランプ氏は就任後、米国で生まれた子に自動的に国籍を与える「出生地主義」の見直しや、200万人以上の連邦職員への退職奨励など、憲法や法律違反が指摘される型破りな行政措置を講じた。多くは地裁レベルで差し止められ、司法の壁にぶつかっている。

 バンス副大統領は9日、SNSで「判事は行政の正当な権力行使を統制できない」と述べ、司法に挑戦する姿勢を公然と示した。トランプ氏や周辺が行政権の限界を試し続ければ、三権の抑制と均衡は揺らぎかねない。 

[時事通信社]

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