国土交通省は、盛り土で造成した道路が昨年1月の能登半島地震で多数崩落したことを受け、緊急輸送道路で対策を行う高速道路会社や都道府県などを対象とした補助事業を2025年度に創設する。救命活動や物資輸送に欠かせない緊急輸送道の対策を重点的に支援し、災害時の被害軽減につなげる。
国交省によると、能登地震で大規模崩落が起きた道路の盛り土は28カ所。沢を埋めた場所などで大きな被害が発生した。そこで昨年7月からは、高さがおおむね10メートル以上の盛り土で、地盤が緩みやすい「集水地形」に位置する緊急輸送道を対象とした全国点検に着手。高速道路各社や都道府県など道路管理者に調査を求め、早急に対策すべき箇所を精査している。
補助事業では、この全国点検で対策が必要と判断された緊急輸送道を対象に、盛り土崩落を防ぐための補強や排水機能向上を行う対策費用を支援。補助率は10分の5.5とする。
国交省は能登地震を受けて、トンネルや橋といった道路構造物の設計方法などを示す技術基準の改定に向けた検討も進めている。盛り土の勾配や排水施設の設置に関する内容を反映させる方針で、25年度後半の適用を目指している。
[時事通信社]